バイデン政権の外交政策での7つの課題とは 中国・ロシア・北朝鮮問題

就任前に表明している彼のスローガンでは、コロナウイルスのパンデミックへの対処、米国経済の活性化、および黒人に対する人種差別と経済的不平等への取り組みがメインとなっています。

しかし、米国と世界が直面している課題は、山積みで予断を許しません。

ラテンアメリカから東アフリカ、核を持つ危険性がある国家が存在する以上は、バイデン政権が国内の問題に集中しすぎてしまうと、外交政策の危機に直面することは確実です。

本ページでは、バイデン政権が抱える外交上の7つの課題について、くわしくお伝えしていきます。

①対中国の外交政策【アメリカファーストとは異なる戦略】

経済で伸び続ける中国に対して、アメリカの同盟国と調整を重ねることで、対中国の外交政策を推し進める見方が強まっています。

トランプ政権は、中国を米国に対する最大の脅威として捉えていました。

中国は、南シナ海で軍事的な影響力を拡大し、ヒマラヤでインド軍と戦い、台湾軍に対して妨害をし続けています。

特に、香港とイスラム教徒のウイグル人に対して、国内でより強い弾圧を行いました。

バイデン新政権には、トランプの関税の一部を維持する一方で、トランプの強力な「アメリカファースト」戦略とは異なる戦略をとることが期待されています。

②対ロシアの外交政策【核兵器協定が2月5日に失効】

対中国の外交政策は、長期的な取り組みとなりますが、ロシア外交については、迅速な対応が求められています。

ウラジーミル・プーチン氏は、2018年のロシア大統領選挙にも出馬したアレクセイ・ナワルニー氏を毒殺未遂したとされています。

さらには、英国の地においても、スクリパル親子を神経剤により毒殺した疑いがあります。

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また、彼のサイバー軍は、米国政府と民間部門のシステムを繰り返しハッキングしてきました。

米国とロシアの間の最後の核兵器協定は、2月5日に失効する予定であるためバイデン氏は最大規模の核保有国との軍事交渉に関する課題に直面するでしょう。

さらには、ロシアの軍隊と傭兵は、シリアからリビア、中央アフリカ共和国からベネズエラまでの紛争に関与しています。

ロシア側の反応としては、プーチン大統領のスポークスマンは先週、米国政権の交代について「ポジティブな要素ではない」と伝えました。

③対北朝鮮の外交【両国の間には深い溝】

トランプ氏は、金正恩との最初の首脳会談を終えたときに、ツイッターで「北朝鮮からの核の脅威はもはやない」と宣言しました。

ですが、今年の10月にキム政権は、長さ75フィートのミサイルを使って、平壌の通りをパレードしました。

専門家の分析によると、実際のテストはされていないものの、おそらく複数の核弾頭で米国本土に到達する可能性のある大陸間ミサイルと予想しました。

結局のところトランプ大統領は、キム政権の武装解除に失敗しただけでなく、国連決議に違反した短距離テストで、弾道ミサイルの能力を向上させる時間を与えることにしかなりませんでした。

現在までにバイデン氏は、北朝鮮による隣国の中国への違法行為が増加した場合は、平壌に対する国連制裁を強化するために働くと述べています。

金正恩氏本人ではなくキム政権関係者との交渉からスタートか

元CIA韓国アナリストのスーミテリー氏は、次のように述べます。

「北朝鮮が核兵器の開発において進歩を遂げたことを考えると、バイデン政権はトランプ氏が持っていたときと比較して、交渉力が弱いことに気付くだろう」

バイデン氏は、両国のあいだに深い溝があるため、キム政権関係者との短期的な交渉からスタートを始めると予想しています。

現在のところは、キム氏が短期的な取引を受け入れて長期的な解決策への扉を開くかどうかは不明です。

ですが、一部のアナリストは、双方の深い不信を考えると、それが前進する唯一の方法であると主張しています。

④対イラン外交【石油・銀行への経済制裁の解除を要求】

次期政権の外交政策の中では、対イラン外交が最も問題を抱えているかもしれません。

バイデン氏は、彼が2017年に副大統領を去ったときよりも、より高度な遠心分離機でウランを製造するイランに対処しなければいけません。

また、バイデン次期大統領は、CNNで次のように述べています。

「イランが核合意の厳格な遵守をスタートさせた場合は、米国はその後の交渉の出発点として核合意に再び参加するだろう」

しかしイラン側は、それは不可能であると発信しました。

6月に辞任する予定のハッサン・ロウハニ大統領は、核合意の条件を再交渉するだけでなく、イランはトランプの経済制裁の経済的損害を補償しなければならないと述べています。

世界銀行によると、トランプの制裁により、イラン経済は深刻な不況にあり、2019年から2020年にかけて6.8%縮小しています。

着々とウラン濃縮を進めるイラン

今月イラン政府は、2月初旬までにアメリカによる石油と銀行の制裁が解除されない場合は、核保有を前進させる法案を可決しました。

法案の中身は、ウラン濃縮を増やし、国連の核査察官を追放する内容となっており、核関連における大きなニュースといえます

トランプ政権下と同様に、ペルシャ湾の石油タンカーへの攻撃やイラクの米国施設へのロケット発射を開始し、政治的な交渉の手札を握る可能性があります。

⑤気候変動への取り組み【パリ協定以上の基準が要求される】

バイデン氏、特にジョン・ケリー前国務長官を内閣レベルのポジションに任命することで、気候変動への取り組みが政策の最優先事項になることを対外的に示しました。

ケリー氏を任命するにあたって、バイデン氏は次のように述べています。

「私の親友の一人であるジョン・ケリーは、私たちの時代の最も差し迫った気候変動に関する脅威について、唯一のキーパーソンとなるであろう」

しかし、気候変動の危機は、年々増加しているため、ケリー氏が5年前のパリ協定で確約した以上の基準を必要とすると推測されます。

2020年までに世界的に気温が上昇しており、国連の世界気象機関によると、1800年代の末期よりも1.2度摂氏暖かい気温となっています。

【懸念点】ケリー氏の次期米国務長官ブリンケン氏への外交政策上の過干渉

バイデン次期政権が抱えるリスクは、ケリー氏の外交政策が、次期国務長官のブリンケンの外交努力に過干渉することです。

ケリー氏の中では、米中関係や他の重要な問題よりも、気候変動に関する問題解決が最優先事項となっています。

外交上の干渉が過ぎることで、ブリンケン氏の経済政策や人権問題に関する取り組みについて、悪影響を与える可能性があります。

⑥西半球の国々との協力関係【急増が予想される移民の受け入れ先に】

バイデン氏は、トランプ大統領の国境、亡命、ビザに関する厳しい政策を解除する予定です。

したがって、アメリカ国内に急増する可能性のある移民に対処するのが、緊急性を要する課題となります。

西半球の国々、特にメキシコと、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスのいわゆる北三角地帯と協力することは、避けて通ることができない道です。

またケリー前国務長官は、特に隣国のメキシコやカナダとの関係を回復させることで、サプライチェーンや貿易などの重大な問題の解決に発展する可能性があると述べています。

⑦中東の対テロ政策【アメリカ軍の撤退】

バイデン氏が対処しなければならない最初の問題の中には、アフガニスタンとイラクでの米軍の軍事力の行使があります。

そこでは、トランプ政権は、20年以上の争いの後、各国でわずか2,500人に軍隊を引き下げました。

ABCニュースのシェーク氏は、次のように述べています。

「トランプ政権は、アフガニスタンとイラクでのアメリカの軍事力と政治的関与を引き下げることによって、バイデン次期政権の対テロ政策の難易度を下げました」

現在までにバイデン氏は、2つの国における米軍の扱いをはっきりしていませんが、少なくとも完全な撤退を遅らせることを示唆しています。

アフガニスタンが再びテロリストの避難場所になるリスク

懸念される問題としては、再び血塗られた暴力がアフガニスタンを襲う場合や、タリバンとアフガニスタン政府間の交渉が崩壊したケースの想定です。

アフガニスタンが、再びテロリストの安全な避難所になるリスクを冒さないようにするために、バイデン氏の取る手腕に注目が集まります。

中等の他の国では、イスラム教徒のテロの脅威が拡大しています。

ISISとアルカイダの加盟組織は、シリア、モザンビーク北部、フィリピン、そしてマリ、ニジェール、ブルキナファソ、ナイジェリアを含むアフリカ北部の砂漠地帯であるサヘル全体の不安と混乱を利用しています。

バイデン政権の外交政策のスタートとしては、中国や米国の同盟国に焦点を当てる可能性が高いですが、中東を周辺としたテロの脅威は依然として強力であることを忘れてはいけません。

【参照記事】Joe Biden’s top foreign policy challenges in 2021

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